一昨日?くらいに読み終わりました。
タイトル通り分別があって強い自制心を持った姉エリナーと多感で激情家な妹マリアンがメイン。
オースティンは結婚を主題にした作品ばかりで、これもそうです。
エリナーとマリアン、それぞれの紆余曲折する結婚への道と二人の対照的な考え方を描いています。
分別を持って行動するエリナーと恋に落ちたら一直線、周囲なんてどうでも良いわ!となってしまうマリアン。
最初は自制心がなくて気に入らないと礼儀上のあれこれも吹っ飛んでツンとしてしまうマリアンに
「困った人だなー」と思いましたが、中盤くらいからはどんなときもちょっと行き過ぎなくらい
激しく感情を動かすマリアンは可愛く思えてきました。
『ノーサンガー・アビー』に出てくるイザベラが「私は中途半端に愛するということが出来ない性質なの」と言う
シーンがあるのですが、まさにマリアンはそういう性質を持った人だと思います。
当のイザベラは全然そんな愛情の強い人ではありませんでしたがw
恋愛の雲行きが怪しくなってきてからの行動も二人は対照的です。
心の中は荒れていても出来る限り普段通りに振舞おうと努力するエリナーと、
一度悲しみにはまりこむと自らもっと深い悲しみに暮れる方向へ向かうマリアン。
世の中の人の悲しみ方は大きくわけたらこの二通りなんだろうなーと思います。
とことんまで悲しむ人と出来るだけ内面に留めてひっそり癒そうとする人。
私はどちらかといえばエリナーのタイプに属するのかなぁ。
周囲に打ち明けると同調して悲しくなる人も同情する人もいて、ある程度落ち込んだムードになるのは
避けられません。そうすると更にその「悲しいこと」から離れるのが難しくなるので何でもないふりを装いますw
うまく隠し通せば周囲はいつも通りに自分を扱ってくれて、それが平常な状態に戻る足がかりになります。
でも辛いことを何も言わないと秘密主義だと思われるようですね。
私も「結構秘密主義だよねー」と言われたことが数回あります。
作中でエリナーも秘密主義だと半ば責めるように言われるシーンがありました。
別に相手を信用してないから話さないとか、そういうわけじゃないんだけどなー。
それにしても…エリナーの相手にあたるエドワードの影が薄い!w
あまりぱっとしないし内向的だけど誠実な人柄として描かれていますが、なにせ出番が少ない。
大佐は登場当初から何となく好きで幸せになってほしくてずっと応援していたので最後は心底ほっとしました。
マリアンはそれこそ中途半端には愛せない人なので大佐と幸せにやっていけるでしょう!
そうそう、この本にはルーシーという大変お世辞上手な女性が登場します。
これがまたなんとも嫌な人なんですがw
グリム童話みたいに嫌な人は最終的に凄惨な目に遭う、とかそういうタイプの話ではないので
ルーシーはお世辞を駆使して意地悪だけども金持ちの親戚に取り入りなかなかの地位に登ります。
まあ嫌な親戚におべっかを使いながら生きるよりも村で姉妹夫婦で仲良く暮らすほうが
主人公達にとっては幸せでしょうからルーシーはなんでも好きにすればいいんですが。
世の中人柄がイマイチでも上手くお世辞を駆使すればそこそこの地位をゲットできるという手本にはなります。
もしかしてそういう皮肉なのかも…?